おくりびと

前から、「めがね」「ゆれる」「ぐるりのこと」と平仮名シリーズで観たかった作品。近くの映画館で、アカデミー賞受賞記念で上映されていたので、観に行ってきた。

全編を通して流れるチェロの旋律。美しい。すごく「音楽」の少ない作品で、生活音や襦袢の擦れる音がとても際だっていた。登場人物の息づかいや、そこにある空気みたいなものが、感じ取れるくらいに。
お話自体は、ドラマティックな出来事はあまりない。ある納棺士の日常。全体を通して、とても「動き」は少ない。でも、心の動きは、とても激しくあって、それに私も揺り動かされた。

個人的には、火葬場の場面が、一番哀しかった。あぁ、なぜあなたがそこにいるの?と思わずにはいられなかった。

自分の祖母のお葬式の時、火葬場の職員さんの所作がとても美しくて感動した覚えがあります。それ以来、葬式、人の死に立ち会う仕事は、とても静謐で厳かな、素晴らしい職業だなと思ってる。だから、「汚らわしい」という叫びは、自分にはとても違和感があった。一般的には、どうなのだろうなぁ。